和牛の祭典inながさき <前回に戻る 次回に続く>
第10回全国和牛能力共進会 (和牛のオリンピック)審査の様子。
出場した牛はこの会場内で公開審査を受け、優秀な牛が前列に引き出されて行きます。
前に引き出されるほど優秀な牛というわけで、最前列に進んだ中から最高賞である「
優等首席」(優等一席)が発表されるんですね。
前に引き出されなかった牛も、その列の中で順位が判定されていきます。
前に進む牛以外に、横列の中でも順位が決められていくんですね。
僕が見たこの1区の審査では、宮崎牛は優等賞に進めず、一等でした。
でも一等の中で一席でした。
優等ではなかったけど、この審査会場に出られるだけども大変なものです。
格付け成績の並び方はこんな感じです。 (間違ってたら教えてちょーよ)
たとえば
第1区 では
優等賞 一席 二席 三席 ・・・・・十四席
一等賞 一席 二席 三席 ・・・・・六席
この1区での宮崎代表は 「
一等一席 」 の成績だったわけです。
ちなみにこの区の最高賞である 「
優等首席 」(優等一席) は
大分代表でした。
区によっては、二等賞まであります。
一区あたりの審査時間は一時間半くらいなんですが、ルールを知らないと退屈かも。
このあたり主催する
全国和牛登録協会は一般人にも解説して欲しいですね。
会場のテントは3000人くらい入れるそうですが、すぐに満席。
外にも大型モニターが設置されていて、入れない人はここで見ていました。
やっぱり関係者が多かったですね。ここなら食べながら見ることが出来るからいいかも。
ちなみにテント内では飲食禁止です。
全部で9区あるわけですが、そのうち5つもの区で宮崎代表が 「
優等首席 」を獲得しています。
各区の優等六席までの結果
1区 大分 岩手 長崎 広島 岡山 岐阜
2区 宮崎 宮崎 鹿児島 鹿児島 宮城 兵庫
3区 宮崎 宮崎 鹿児島 大分 宮城 鹿児島
4区 宮崎 大分 宮城 長崎 岡山 ほか
5区 大分 宮崎 鹿児島 鳥取 岩手 北海道
6区 鹿児島 宮崎 鳥取 岩手 沖縄 大分
7区 宮崎 鹿児島 長崎 大分 岡山 宮城
8区 長崎 秋田 岐阜 岡山 宮崎 鹿児島
9区 宮崎 熊本 岐阜 静岡 群馬 鳥取
上位六席までに点が割り当てられ、その合計で競われる
団体戦でも、42点を獲得した宮崎が優勝しました。
優等六席までが「上位入賞」みたいなモンですかね~。
宮崎は8つの区で入賞か。しかもほとんど上位。
内閣総理大臣賞
種牛の部 第7区 宮崎県 小倉 黒木 鎌田 齋藤 坂元 中別府 森田
肉牛の部 第8区 長崎県 渡部 古川 喜々津
この大会で躍進したのは長崎勢だそうで、受賞したのは島原の牛だそうです。
前回大会ではこの2部門とも宮崎が獲得したのですが、長崎和牛に奪われてしまいました。
この内閣総理大臣賞が
最高賞らしいです。
長崎では「快挙」だと大きく報道されていました。
7区は特に重要な部門だそうです。おそらく8区もなんじゃないかな?
自分の牛が内閣総理大臣賞なんてどんな気分でしょうね~。
ほかにも
特別賞があります。
前躯賞 第2区 兵庫県 上田伸也
体積 均称賞 第3区 宮崎県 永友浄
乳徴賞 第4区 青森県 三戸地方黒毛和種育種組合
体の深み賞 第4区 宮城県 みどりの和牛育種組合
骨味賞 第4区 兵庫県 城崎和牛育種組合
体上線賞 第4区 長崎県 五島和牛育種組合
種牛性賞 第5区 大分県 玖珠郡和牛育種組合
斉一性賞 第7区 宮崎県 西諸県支所
肉質賞 第7区 宮崎県 小倉光彦,鎌田秀利,黒木輝也
脂肪の質賞 第7区 兵庫県 清川浩平
歩留賞 第8区 青森県 折田勝男,太田岩男,東通村産業振興公社
脂肪の質賞 第8区 山口県 (有)岩国ファーム,(株)福嶋牧場
肉付賞 第8区 鹿児島県 (有)中薗畜産
枝肉のセリも行なわれました。
第9区で
最優秀枝肉賞 を受賞した宮崎の
勝平正 という牛の肉はなんと
キロ単価46660円って!?。
もしかしてこの牛2000万超えたの?。
買ったのは(株)ニュークイックという食肉小売業者みたいです。
これ卸値だと思うけど、市場価格っていくらになるんでしょうね。
優良枝肉賞の岐阜の 花清国 はキロ25010円 これが飛騨牛。
優良枝肉賞の熊本の 平茂幸 はキロ16230円
あとは3000円~5000円くらいだから、やはり賞を取ると値が跳ね上がるようです。
この和牛のオリンピックの結果は、宮崎県勢が大会初の2連続での総合優勝だったのですが、過去には島根や鹿児島なども大変優秀な牛の産地だったそうです。
ただ牛作りの方向性が違ったらしく、上位に顔を見せなくなったんだとか、決して劣っているワケではなく、現在の好みと少し違ったようです。
悪いことじゃないと思うんです。同じ基準で競争していたらみんなそっちばっかり目指してしまいます。
現在は霜降りが重要視されますが、その土地ならではの特徴を持った牛も評価したいものです。
宮崎牛はかなり選抜された黒毛和牛です。
質が高いわけですが、質が高くて宮崎で育てたから「宮崎牛」ではないんだそうです。
宮崎牛を名乗る事が許されるのは、ある機関が定める基準をクリアした牛で、その機関が認定しないと名乗れないそうです。
ここらあたりはどうなんでしょうね。
宮崎で育った牛でも、宮崎牛が名乗れないと、劣った肉と思われないか心配です。
それに、今は多様な好みに対応する時代。
このような競技会で上位に行く努力はたいしたものですが、新しい提案もやっていかないとホントのブランドイメージは築けないんじゃないでしょうか?。
たとえば
やまけんさんの出張食い倒れ日記で紹介されている の
土佐のあか牛 みたいに。
正直値段が高くなるととても手が出ないです。ブランド化が定着すると仕方ないんでしょうね。
生産者としては高付加価値のために努力しているわけだから。
よく考えたら、自分はまともな牛肉なんて2年以上食べてない。
宮崎牛なんて地元の僕でさえ食べたことないです。やっぱり高価だもん。ますます上がっちゃうのかな?。
焼き肉はいつも鳥か豚だしなあ。
宮崎牛かあ、一度くらいこれを機に食べてみようかな。
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