HONDA GORILLA

myconid

2011年11月09日 21:04

この前から部屋の模様替えにアンテナ工事などやってるのですが、倉庫の整理整頓も同時に進めてます。

その倉庫の奥から昔懐かしいバイクが出て来ました。




ホンダゴリラという原付バイクです。1985年発売モデル。買ったのは1990年頃だったかな。

学生時代の夏休みにアルバイトして買ったんですよ。一年半くらい乗ったかなあ。

当時はDJ-1などのスポーツスクーターに人気が集まりだした頃だったと思う。

スクーターといえば主婦の買い物バイクだったんだけど、若者にも人気が広まりだした頃。
そのせいか知らないけど、事故が増加したとかで2段階右折もこの頃始まったんじゃないかったかな。
シャコタンブギなんてマンガが流行ってた。

僕は初め原付免許を取って、1年後に普通自動車、半年後に自動二輪中型を取った。
その時の原付の講習で二段階右折を受けた記憶がある。

当時スクーターは眼中になく、このゴリラを選んだんです。このゴツゴツしたメカっぽさにホレこんだんです。

しかし2ストのスクーターと違ってこのゴリラは4ストの4速。たった3.1馬力。遅いのなんの。
40㎞/hで走ろうもんなら、エンジンは爆発しそうなくらいうるさかった。
35㎞/hで確か警告灯が点滅したと思う。これが夜は眩しくて鬱陶しかった。

だから30~35㎞/hで走ってました。今じゃ考えられないくらい遅いスピードですね。
しかし燃費は良かった。スーパーカブのエンジンだもん。35㎞/Lくらい走ったンじゃなかったか?。

何しろ9Lタンクだから一度の給油で250㎞以上走れた。
給油する度にスタンドの人がたくさん入ることに驚いてたなあ。

このバイクを知っている人は多い。コイツにはモンキーという兄弟車があって、モンキーの方が人気。
モンキーは世界中で売られていました。今でも限定車で販売されてる?。ほとんどの人が改造するみたいですね。
とにかく改造パーツが無限に存在していて、自分好みに改造する人が多いらしい。

このゴリラは生産終了したと思う。

僕は改造はイヤだった。スタイルが変わるのがどうしても許せなかった。排気量を上げようとすると、
マフラーを交換しなくてはならなかった。このバイクで気に入ってるのはタンクとマフラーだったから。

改造する金もなかったけど。

車両メーカー価格は12万5千円。それを諸費用込みで12万だったかなあ。
それまでで一番高価な買い物だった。本当に嬉しかったのをよく覚えてる。


卒業して都会へ就職し、その後宮崎に戻ってももう乗る機会はなかった。
バイクに興味がなくなってた。ただ、手放す気はなく、倉庫の奥にしまっておいたのです。

倉庫の整理で久しぶりに引っ張り出して、何となく眺めていると、当時のことをこうして思い出したわけです。
しかし20年以上前のバイク。ほったらかしだから錆やらホコリやらで酷い有様。


せっかくだから綺麗にしてやろうと思います。


酷いホコリだ。バッテリーもダメ。タイヤは前も後ろもぺちゃんこ。ブレーキもアクセルも延びきってる。
チェーンのグリスは固着して真っ黒。ただ錆は思ったほどじゃない。

しかしジャブジャブ水洗いし拭き取ると案外綺麗。つや出し剤で磨くと、こりゃ凄い!。新車か!?。


もしかしたら動くかもしれない。写真を撮って、ホンダの仕様書を持ってバイク屋に行ってみた。

買ったバイク屋は店じまいしていたので、ちょっと大きめのバイク店へ。
しかし、甘かった。いろいろ話してみたたけど、修理代が高く付いよと言う返事。

しかしホンネは「めんどくさい」。表情と表現ににじみ出ている。

「動かなくてもいいから、やってくれないか?。クレームは付けないから。公道を走れなくてもいい。もちろん費用は払う」

帰って来た返事は「新しいの買った方がいいですよ」。だった。

トドメの捨て台詞だった。もう話は噛み合わない。ガッカリしながら引き返した。

今やバイク店も家電量販店と同じなんだと思い知った。


こうなったら自分でやってみよう。ダメで元々だ。

現代にはインターネットという強い味方がいるじゃないか。
検索すると山のようにHITした。

どうやら動かす際に必ず問題になる点があることが分かってきた。
そしてそれを解決する方法もあるようだ。
そこを解決すれば峠を超えたも同然。・・・らしい。

まず工具だ。バイクは様々なナットやボルトが使われている。ナットボックスが交換出来るセットを購入。
ハンズマンで1250円くらい。怪しい格安品だけどなんとかなるだろう。
空気入れも購入980円。


タイヤはぺちゃんこ。空気を入れてみるとパンクはしていない。チューブは無事みたい。
でもタイヤにはヒビかたくさん入ってる。

とりあえず、バラしてみる。
まず簡単なところから。シートをはずしてみた
当時もシートをはずそうとした記憶がある。でもやり方が分からなかった。
ネットで検索するとアラ簡単。

 

はずすと今まで手の届かなかったところが掃除できる。見ての通りフレームをピカピカに磨きました。

面白くなってきた!。
当時は分解の知識なんてなくて、バイク屋任せ。でも今ならやれそうな気がします。
もう夢中だ。

次はキャブレターの取り外し
これがかなりいろんな部品とつながっていて、重要な部品であることが分かります。

はずすだけなら簡単なんだけど、元に戻せなかったら大変。いちいち撮影しながら進めました。

このキャブレターというのはエンジンとタンクとエアクリーナーとアクセルレバーとにつながってます。

よく分からないけど、エアクリーナーから取り入れた空気と、タンクの燃料を混合させ、シリンダーに送り込むための部品じゃないかな?。混合気を調整するのはアクセルレバーか?。

このキャブレター、他にもいっぱい調整機能があるようです。

ネットで検索すれば分かるけど、分解に夢中であまり調べなかった(笑)。
そんな事も知らずによく乗っていたもんだと自分に呆れる。

左から象の鼻みたいなものが混合気が通る部品。エンジンのシリンダーとつながってます。
名前は知らない。インテークかな?。
その右がキャブレター。さらに右の黒いのがエアクリーナー

まず動かないバイクはこのキャブレターとエアクリーナーに問題が多いらしい。 

ここをばらすのが一番怖かった。
戻せなかったらどうしよう。

黒く変色しているのはたぶん燃料が漏れいたんじゃないか?。


なんとか外せた。
アクセルのワイヤーにバネやら金属棒やらが付いててちょっと複雑。仕組みが分からない。
 
上のつまみが燃料コック。ゴムホースでつながっています。このホース類は劣化してないみたいです。

下に延びてるホースはドレンかな。ガソリンを排出するためなのか・・・。

キャブレター象の鼻を分離。そこにゴムパッキンが出て来ました。

このゴムパッキン類がほぼ間違いなく劣化しているそうです。でも見た感じは綺麗でした。
弾力もあります。

次はキャブレター本体を分解。これが一番緊張しました。
するとまた黒いゴムパッキンが出て来ました。

これは見た目からして劣化している。
変形しているし、カチカチに固まってる。茶色い付着物は燃料漏れのあとかな。

黄色い部品はフロートというらしい。それもはずす。
とにかく全部はずす。
このキャブレター大人のコブシくらいの大きさなんだけど、やけに部品が多い。おまけにちっちゃい。
それぞれの取り付け方もなんだかややこしい。

不安で何度も写真を撮りました。

分解すると底の方に細かい砂みたいなモノが。


でもガソリンの残留物らしき物は見あたらなかったです。抜いた覚えはないので自然に気化したのかな?。

とにかく完全に分解。金属部品と、ゴムや樹脂系部品は別々に分けます。 

金属部品は小さな皿に入れてクリーナーをかけます。
専用のクリーナーです。キャブレタークリーナー

こんなの初めて知りました。オートバックスで調達。1029円。あとでハンズマンの方が安い事を知った・・・。

このキャブレタークリーナーは凄い。スプレー式なんだけど、みるみると汚れが落ちる!。
コイツは他のことにも使えるかも。いいアイテムを知ったなあ。

ものすごい洗浄力。シンナー系なのかも。このネジの汚れも一瞬で吹き飛びます。
ネットによると、惜しまずじゃんじゃん吹きかけろと載ってた。特に小さな穴は念入りに。
しばらく浸け置きするとさらによいらしい。
プラスチックやゴム類には絶対かけてはならないらしい。溶けるのかな?。
 

注意して使わないと目に入ったら転げ回るほど痛い!。失明するかと思った!。

ちなみにこのネジは何かを調整するためのモノらしい。

洗浄が終わったらゴムパッキン類を交換。オークションで800円くらい。
このゴムパッキンは今でも作られているらしい。

そしてキャブレターを組み立て直す。フロートの組み立てにコツがある。長くなるので省略。


次はエアクリーナーの分解。 
中にフィルターが入ってます。スポンジなんだけどボロボロ。
これもネットで調べていたので交換。送料入れても500円くらいかな。

ホントは油をしみこませ絞ったモノを入れるらしい。
でもとりあえずスポンジをそのまま入れてみました。
これはスポンジを入れる前の画像。
 
これは部品数が少なくて簡単な作業でした。


次はマフラーの取り外し。どうやらこのマフラーはエアクリーナーをはずさないと取れないみたい。

取り外しはまあ簡単。振るとカラカラ音がする。ススかな。延々と振りつづけ放出させた。

そしてタンクの取り外し。タンクも簡単にはずせる。でも燃料ホースのところがちょっと分かり難かった。


キャブレターとエアクリーナーと、もう一つ重要なパーツがこの燃料タンク。
駆動系ではこの3つが修理出来れば先が見えてくるそうです。

燃料タンクは内部がほぼ間違いなく錆びているらしい。しかし奇跡的に中はピカピカ。
底にガソリンの残留物らしきモノが付着してたので、灯油を300cc ほど流してみた
取れたかどうかは不明。

錆びていたとしても、除去する強力な薬剤があるらしいです。でも穴が開くほど錆びてたらどうにもならない。
タンクは新品で買うとドえらく高い。

保管状態がよかったみたいです。


バッテリーが届いた。ちょっと特殊なバッテリーらしい。6V仕様。
幸い6V用の充電器があるので一晩充電。ホントは充電しなくてもそのまま使えるらしい。
しかし驚いたな。バッテリーと液体は別々に梱包されてた。自分で注ぐだなんて。

しかし端子が合わない。なんとか加工して対処。ヘンだなあ指定品を買ったつもりなのに。
奮発してGSユアサ製。送料入れて4000円くらいだったか。


キーを回すとランプ点灯!。ウインカーもブレーキランプも点いた!。
でもヘッドランプが点かない・・・。・・・でもかなり嬉しい。



シート、タンクを外したおかげで隅々まで磨けます。
部品を取り寄せている間に徹底的に磨きました。
そしてキャブレター、エアクリーナーを取り付け。
 


キャブレタークリーナーのカバーが割れてる。何でこんな所が?。

しかしキャブレターはまるで新品!。とまではいかないけど、使いこなしたイイ味が。


チェーンの汚れを取るため、後輪をはずす。チェーンに灯油を垂らし、ワイヤーブラシでこそぎ落とす。
仕上げはまたキャブレタークリーナーで。凄い洗浄力。隙間の汚れもどんどん出て来る。

ついでに後輪からブレーキをはずして分解。オイルをしみこませたウエスで磨く。

ウエスにCRC556を付けて磨くと、歯車とチェーンに銀色の鈍い光が蘇った!。たまらんなもう。


チェーンのたるみを調節するチェーンアジャスターのねじ山が潰れていた。
急ぎ注文500円。くらいだったか?。

タイヤもクレンザーやブラシで磨き、オイルをしみこませたウエスで磨くともう新品だ。


マフラーを取り付ける。はずすのは簡単だったけど取り付けがやたらとキツイ。
パッキンが入り難くくて。でもなんとか取り付けた。

キャブレターワイヤホース類をつなぐ。 
 


オイルも交換下から抜くと真っ黒いオイルがダラダラと出て来た。オイルパックを200円くらいで買ってたので
その中へ捨てる。 ひどい汚れだ。念のため灯油も注いで洗浄を試みる
その後オイル注入。指定は800ccだったかな。1リットル700円くらい。計量出来ないので適当に入れた。

スパークプラグも届いた。すぐに交換。 


ついに完成!。遠目で見たらまるで新車!。


ここまで出来るとは思ってなかった。いや初めは汚れを落とす程度のつもりだった。
でもここまでやれた。何とも言えない充実感だ。

 

 

始動させてみよう。

まずタンクに燃料を1リットルほど入れてみる。

ギアをつま先でニュートラルへ。

キーを回す。

キックしてみる。

反応がない・・・さらに4,5回キック。

あら、燃料コック締めたままだワ。

コックを回し、ドレンのつまみも回してみる。するとドレンからガソリンが漏れてきた。
キャブレターに燃料が入ったようだ。

かかった!と同時に炎上! なんてことはないよなあ。


再度挑戦! キック1回、、、2回!。

おわーーー、かかかった!!!。

何事もなかったようになめらかにエンジンが回ってる。

その場でボーゼンとするオレ。

マジかよ・・・ホントに動いてるよコイツ・・・。

アイドリングの回転が高いけど、キャブレターで調整出来た。
ふかせばちゃんと回転も上がる。
ヘッドライトも点灯するじゃないか!。

そこら辺をちょっと走ってみた。ブレーキを調整してないからやたらと緩い。でもちゃんと効く。
ギヤも4速ともスムーズに入る。

不思議だ。20年以上も前のバイクなのに、操作もタイミングも体が覚えてる・・・。

このエンジン音、乗り心地。あの時のままだ・・・。


修理に10日くらいかかったろうか?。ネットで調べた時間も含めるともっと・・・。
専門家ならワケない事かもしれないが、僕には出来すぎ。
苦労と不安が常につきまとっていたけど、何とも晴れがましい気分だ。
さすがに情が移るよ。
今はすべてに感謝したい気分。
特にホンダには、よくぞこんなバイクを世に送り出したと感謝したい。



しかしコイツとももうすぐお別れ・・・

     サヨウナラ・・・オレのGORILLA  へつづく。


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